清水玲子先生が好きで作った非公式ブログです。 現在は『秘密-THE TOP SECRET-』を中心に。

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# 【秘密二次創作】尊いもの

「秘密」の二次創作です。原作とは一切関係ありません。

なんと、山本を主人公にした話を作ってみました。

メロディ2月号の「山本のウィンク!(^_<)-☆」を見たら書かずにいられませんでした。
よかったらお付き合いください。
 



尊いもの

ものごころついた頃から、自分が醜いことを知っていた。
そのうえ、運動がからきしダメで・・・・。異性にモテたことなど無く、それどころか同性にも忌み嫌われる存在だった。蔑まれ、下に見られ、『ぞんざいに扱われること』に慣れていき、性格はすっかり卑屈に歪んでしまった。

もう少し美しく、いや、せめて華のある容姿に生まれていたかった・・・・

世の中、不公平で辛いことばかりだ。

自分がさえない男である事を自覚しているのに、『ぞんざいに扱われた』とか『大切にされなかった』という不満を持つのは、『愛されたい』『大切にされたい』という欲求の裏返しだろう。
なんてあつかましい・・・こんな顔をしていて。思わず自嘲する。

『欲』を持つから苦しいのだ。私は、『欲』を捨てることにした。

そう決心した私は、ただ勉強するしか無かった。『欲』のすべてを『勉強』に還元したのである。幸い、勉強だけは良く出来た。

そして私は、自分を蔑んできた人々を見返したくて、不公平で辛いことを無くしたくて。

検事になった。

ただ、検事になっても世の中は不公平で辛いことばかりだった。

そして忘れても捨てても、『欲求』は私の中にくすぶり続けたのである。

----

2062年春。私は念願叶い『第九』へ配属となった。
警察史上最も高学歴で、最も検挙率が高く、誰もが色んな意味で『一目置く』存在である『科学警察研究所法医第九研究室』、通称『第九』である。ここならば・・・『泣く子も黙る第九』と言われるここに入れるような人物であれば、もう誰も私を見下したりしないだろうと思った。

そうしてこの時点から、私の人生は色鮮やかなカラーで見えるようになる。


『第九』の室長は・・・子供のころから憧れた、『いるだけでその場がパァーっと明るくなる華やかな『容姿』・・・それを当然のように持っていた。透き通るような白い肌に少し茶色い髪。小柄で華奢で、女性のような美しい男性。この私が、こんな人に仕えるようになるなんて。

ただ、室長は容姿に似合わず厳しい人だった。
『これが第九のトップなのか』と怖れおののく。彼は美しいだけでなく、まぎれもなく『ボス』なのであった。(見た目は『お姫様』なのに)

「山本!」

初めて呼び捨てにされた時は怖かった。今は、少し嬉しい。
室長・・・・薪さんには、ぞんざいに扱われたほうが嬉しく感じるのだ。私も少し、マゾっぽいところが出てきたのかも知れない。

ある時私が、遠くの室長を目で追いながらひとりごとをつぶやいた。

「室長は本当に美しいですね・・・・。いるだけでパァーっと光が。キラキラしてて」

すると「何言ってるんだ気持ち悪いな!ウチ(第九)をホモ警察にするつもりか!?」と、岡部さんに叱咤されてしまった。

そんなことを言ったって・・・・室長を一番熱い目で追ってるのは岡部さんじゃないですか。そう言いたかったが、そこはグッと飲みこんだ。

すると自分たちの反対側からも、熱い目線で室長を見ている捜査員を見つけた。

青木さん。

岡部さんにしても青木さんにしても、ある特定の感情を持って室長を見ているのは、私の目から見ても明らかではないか。

「うむ・・・・きれいな人はきれいな人で、なにかと大変そうだな」
そう思うことで、不公平感を少しでも無くしたような気になった。



6月18日。
室長は会食に出たようだ。政治家の方と食事らしく、珍しくネクタイをしめて行かれた。

私はだいぶ遅くまで第九に残っていたが、岡部さんが「もう帰るぞ」と言うので一緒に出ることにした。いつもは室長がセキュリティをかけるが、今夜は岡部さんがかける。
「室長が戻るまで待たなくていいんですか」と聞いたら、「いいんだ、今日は」と岡部さんが言う。

今日は?

今日って何の日だっけ。

そう考えてハッとした。去年、青木さんのお姉さん夫婦が惨殺された日だ。

「いいんだ、今日は」

もう一度、その発音を思い出してみる。
もしかして。
今日は青木さんと過ごさせてあげたい・・・というニュアンスにも聞こえる。

「山本、一杯行くか」
珍しく岡部さんが誘ってくれた。
「はい」
なんとなく、今夜は岡部さんをひとりにしないほうが良い気がしたので行くことにした。それに自分も少し、呑みたい気分だったので。

近くの居酒屋まで岡部さんと歩いていると、あることに気がついた。
岡部さんは歩くスピードがゆっくり、ゆったりしているのだ。まるで巨大な恐竜が、のっしのっしと歩く様に、ゆっくり。岡部さんよりだいぶ小柄な私が、チョコチョコと急ぎ歩きをしなくても十分についていける早さで。

そうか。
いつも室長と一緒に歩いてるから。

室長は歩くのが遅いわけでは無いが、歩幅が小さいので・・・岡部さんが合わせると、こんな風にゆっくりになってしまうのだ。
そのスピードで、私とも自然に歩けるようになっている。こんな風に、『大切にされたこと』・・・と言っては大げさだが、『ぞんざいに扱われない』ということが嬉しかった。たとえそれが、室長のために癖になってる習慣であっても。

暫く歩くと、第九のメンバーには割とお馴染みの居酒屋についた。テーブルで2人、焼酎を呑む。岡部さんは一通り食べて呑んだあと、煙草に火を付けた。

岡部さんが煙草を吸っている姿を久しぶりに見た。(仕事中は、というより室長と一緒の時は吸わない)

「岡部さんはこれからも、ずっと室長の片腕として過ごされるつもりなんですか」と聞いてみた。

岡部さん、室長を『手に入れること』より、『片腕として一生添い遂げること』を選んでいるのですか。それで、いいのですか。

「ああ」

岡部さんは躊躇せずに答えた。この即答が、決意を感じる。この人には『欲』が無いのだろうか。室長の為に尽くして、尽くして・・・それでも手に入れたいとは思わないのだろうか。

そんなことを考えているうちに、ほろ酔いだった岡部さんが思ったよりグイグイ呑んでいることに気が付いた。

「岡部さん、ちょっと、呑みすぎですよ!明日も早いのですから!帰りましょう」私は慌ててそう言い、岡部さんを引っ張るように店外へ出た。

店の外で、岡部さんがちょっとふらついた。

「もう!どうなさったんですか!呑みすぎなんて、らしくない」

少し説教をさせてもらった。岡部さんは「ああ、大丈夫・・・・すまん」と言いながら、ふらふらと歩きだした。
私が横で支えて、「少し近道しましょう」といって狭い小道へ誘導した。タクシーのある大通りまで、直線で突っ切って行こうと思ったのだ。

すると、岡部さんが思わぬ行動に出た。

なんと、狭い路地で私を・・・・ものすごい力で抱き締めて来たのだ。私の顔は、完全に岡部さんの胸に収まった。

「お、お、岡部さんっ!」びっくりして叫ぶ。

すると、岡部さんは

「薪さん・・・」とつぶやいた。

ええええーーーー!

全然違いますよ!?いくら呑み過ぎでも、間違えないでしょう、岡部さん。

「薪さんっ・・・・!」
そう言って、岡部さんは私の禿げ頭を撫で回した。髭がジョリジョリして痛い。

「岡部さん、岡部さんっ、目をさまして下さいっ」

必死に離れようとしたその時・・・・

岡部さんの目から涙がこぼれているのを感じた。私の額に、涙が伝ったからだ。

「薪さん・・・・薪さんっ・・・・っ・・・!」

何度もそう呼ぶので、私は暫くじっとしていた。今の彼にとって、小さきものはすべて薪さんなのだろう。私が離れて、他の小さい人にこんなことをしたら大変だ。しばらく私が犠牲になろう。

「薪さん・・・・まき・・・んっ・・・!うっ・・・うう・・・」

ああ、この人はやっぱり、薪さんが好きなのだ。薪さんが欲しいのだ。

人を想う気持ちも「欲求」なんだ。
その人の、心も、身体も、人生も・・・・欲しいと思う。その「欲」が満たされないから苦しいのだ。



何とかタクシーに岡部さんを押し込んで、その日はようやく帰路についた。



翌朝、岡部さんは何事も無かったように仕事に打ち込んでいた。私には「夕べのことは殆ど覚えてない」と言い「なんか迷惑かけたか?」と悪びれる様子も無い。本当に覚えてないんだろう。まったく、この人は。

室長も青木さんも、普段通りだった。
ただ室長が一回、仮眠を取りに室長室にこもった。こもったといっても、10分くらいだったが。
電話がかかって来て起こしにいったら、「・・・ん・・・鈴木?」と言われた。私は間違われてばかりだ。しかも全然、似ても似つかない人に。

「鈴木さんと間違われちゃいましたよ」
席に戻ってから青木さんにいうと、青木さんは黙って空を見ていた。しまった、不用意に言ったものの、もしや・・・傷ついているのだろうか。

あれ・・・

そんな青木さんを見ているうちに、あることに気が付いてしまった。
「青木さん、オシャレになってません?」
なんか、見た感じがいいのだ。いいといっても万年スーツなのだが。あ、眼鏡?眼鏡が変わってるのだ。
青木さんは「いや、ちょっと、眼鏡を」とだけ言った。

青木さんはよく、レーシック(視力矯正手術)を受ければいいのにと言われている。今時、レーシックなんて随分簡単に出来るんだから受ければいいのに。青木さんは言われる度にあいまいな返答でごまかし続けている。眼鏡がいいのだと。
おそらく、鈴木さんに間違われるのが嫌なのだ、と私は感じている。

結局、叶っても叶わなくても『恋』は・・・苦しくて辛いのだ。
叶わないうちは『欲』が満たされなくて辛い。叶ったとしても新たな『欲』が出て来て辛い。

MRIの映像を見ていても思う。
人というものが、いかに『欲』に支配されているかよく解る。人は皆、自分が欲しいものを見ている。欲求に都合の良い部分だけを見ている。そこには『客観性』といったものが無い。

モニタールームで、「室長。今、ちょっと話しかけてもいいですか」と前置きしたうえで聞いてみた。

「人間の欲求をすべて無くすことは出来ない・・・・と思いますか」

「なんだ突然に」
室長は呆れたように私を見たが、ご機嫌が悪いわけでも無さそうだ。

「室長は、欲望とか欲求を感じない脳の画像を見たことがありますか」

室長はちょっと、私に興味を持ったようにこっちを見て、またモニターに目を落とした。

「これを見ろ」

モニターには、去年見た・・・倉辻和歌子さんの映像があった。
そこには、娘さん・・・舞ちゃんの可愛らしい笑顔があった。そう、母親の目で見るとこんなにも愛らしく見えるものかと感動したものだった。

「ちょっと追加報告をまとめなくてはいけないので、もう一度見ていた」

室長はそう、説明してくれた。

「かわいいですね」

「先の質問だが、人間の欲求は完全に満たされることはないと思う。どうしても叶わないことはある」

ああ、やっぱり室長もそう思われるんですね。

「ただ、欲を満たされない思いを、叶わなかった想いを、沢山経験している人とあまり経験してない人では・・・感動の幅に差があると思う」

室長が私の相手をしてくれている・・・なんだか嬉しいなぁ。

「それに・・・自分の欲求よりも、もっと尊いものがある。と僕は思う」

自分の欲求よりも、もっと尊いもの・・・・

「それってつまり、愛する人の幸せだったり笑顔だったりするんですね」
そう言うと、室長はにっこり笑って私を見た。私は一瞬でとろけそうになってしまった!

「この倉辻和歌子さんは、自分がどうしたい、とかいう欲求が満たされることより、娘の幸せとか笑顔の方が嬉しかったんだと思う。尊いものの幸せとか、笑顔とか、そのためなら自分の欲求なんて諦める・・・というより自分の欲求なんか忘れてしまっているだろう。つまり欲求が満たされようが満たされまいが、尊いものを見つけた瞬間に、そんなものどうだってよくなるんだ」

私は、『愛されたい』『大切にされたい』といった身勝手な自分の欲求はだいぶ満たされていると思う。この『第九』に来てから。
ただ、人生の本当の目的は、自分の欲求を満たすことじゃない。自分の欲求よりも『尊いもの』を見つけることだ。

岡部さんや青木さんにとって、その『尊いもの』とは・・・今、自分の目の前にいるこの美しい人、そのものなのだ。この人が幸せで、笑っていられる事が彼らにとって喜びであり、だから彼らは欲が満たされなくても幸せなんだ。

私にとって『尊いもの』とは何だろう。
室長。あなたは私にとっても、『尊いもの』だ。私を救い、教え、導き・・・生かしている。

だが、岡部さんや青木さんも、私にとって『尊いもの』だ。
私にとっては皆が・・・『第九』の皆が、『第九』そのものが、限りなく尊いもののように思う。どうか、第九の皆が幸せでありますように。

そして室長。あなたに生涯を捧げようとする大男が2人もいるから、私は、そうだな・・・時々、その大男たちのメンテナンスをして、この『尊い人たち』が辛く無いようにしていきたいと思う。

これから先、全国に散らばったとしても。今の第九メンバーと過ごした日々や今後の付き合いは、私の精神的支えであり続けるだろう。
 

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(前はユーカリというHNでした。今はtwitter名に合わせてちえまるとしてますが、どちらで呼んでいただいても構いません)

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●二次創作、イラスト、感想、レポート、雑記…等々。

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