清水玲子先生が好きで作った非公式ブログです。 現在は『秘密-THE TOP SECRET-』を中心に。

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# 【秘密二次創作】優しい秘密.3

「秘密」の二次創作です。原作とは一切関係ありません。

3話目です。もうちょっとお付き合いください;;

雪子の故郷が「大阪」っていうのは、マイオリジナル設定です。
雪子は関西弁ではなく標準語をしゃべりますが、関西出身の人でも標準語の人はいるので。アリかな~と思って。大阪が似合いそうだし。



優しい秘密.3

「本当に俺、雪子さんと一緒に大阪へ行っていいんですか」
俺は仕事が終わってからも、室長室で薪さんに食い付いた。

「ああ。見舞いくらい行ってもいいだろう」

「それは・・そうだけど。薪さん、薪さんは、それでいいんですか!?」

俺は、あまりにもあっけなく許可した薪さんに不安を感じていた。この人は・・すぐに消えてしまいそうな儚さがある。
無理をしているのではないか・・本当は、行って欲しくないと思ってるんじゃないか。たとえ見舞いだけだとしても・・行くな!・・と、思ってるんじゃないか。

いや・・俺だ。俺が、引き止めて欲しいと思ってるんだ。

「いや、俺が、引き止めて欲しいんですっ・・・」

振り絞るような声で訴えた。

「青木・・」

「俺が・・薪さんに・・」

「青木。どういう理由があったとしても、お前が雪子さんにしたことは『酷いこと』だ」

薪さんの声はゾッとするほど冷たかった。
たまらず俺が、目を伏せると・・・

「いや・・・すまない。僕とお前・・だ。僕とお前がしていることは、彼女に対して『酷いこと』だ。見舞いくらい行って当然だ。それくらいのことをするのは、当然なくらい・・『酷いこと』をしてるんだ」

そう告げて、薪さんはそっと俺の額に手を触れた。前髪を少し触って、離すとこう言った。

「僕のことは気にするな。明日、朝早い新幹線なんだろう?もう、今日は早く帰って休め」

「薪さん・・」

「今朝も5時に叩き起こしたからな。早く休んで、雪子さんのお父さんにしっかり挨拶してこい」

婚約者として・・という言葉は続かなかった。




翌朝、東京駅の窓口で雪子さんと待ち合わせた。彼女は旅費はいいと言ってくれたが、さすがに切符代は自分で払う。

「ごめんねー!あ、席、窓際がいいな」

雪子さんは大きい荷物を持っていたので、俺が持とうとすると・・

「あ、いいのいいの!」

と、自分の荷物を持ったまま、さっさと座席に乗り込んだ。
気を使わせている・・・そう思って俺はまた、自責の念に捕われる。

婚約までしたくらいだ。一度は本気で愛した女性に違いない。でも、その記憶の遠さといったらどうだろう。俺はこんなに、薄情な男だったのだろうか。


(お前が雪子さんにしたことは『酷いこと』だ)

薪さんの言葉が頭の中で繰り返される。もうこれ以上、彼女を傷つけるわけにはいかないんだ。薪さんの為にも・・・


新幹線の中でも、彼女なりに気を使っているようだった。

隣の座席に座っているのに、雪子さんと俺の会話は浅いものばかり。
最近の天気・・スガちゃんがやったドジな出来事・・

そしてこれから会う、お父さんのことも語ってくれた。

「私は結構、健康とか体のことには気を使ってるわけよ。ご飯だって玄米だったでしょう?」
雪子さんは、その割にはこってりとしたトンカツ弁当を食べながら言った。

「ああ・・そうでしたね。飲み物も、黒ウーロン茶とか多かったですね・・」

うっかり、つきあってた頃の食生活を思い出す。彼女は俺の嫌いな「木根屋」のトンカツなんかよく食べるが、普段の食生活は健康志向が強かった。

「でも父は全く気にしないの。そんで、そういう人の方が健康で長生きしたりするじゃない。『健康の秘けつは?』『タバコです』とか言っちゃうような人よ。実際そんなんで元気だったから、完全に安心してたんだけど・・・」

雪子さんはまだまだしゃべっていたが、俺は薪さんのことを思い出していた。

ああ、あの人はそう言えば『ふぐを食べたい』って言ってたっけな・・今度、連れていってあげよう。ちょっと奮発して、高級な・・・


名古屋を出て京都に着く前、俺の携帯が振動した。見ると、薪さんからだ・・・
俺は妙にドキドキしながら、「すみません、ちょっと・・」と雪子さんに告げてデッキに出た。

「もしもし・・・薪さん?」

俺は初めて彼女に電話する中学生のような、裏返った声を出していた。

『・・・青木・・・』

薪さん・・声を聞けただけでも胸が高鳴る。昨日まで会っていたのに、たった半日も会わないだけでこんなに・・・声が愛しいものなのだろうか。

しかし少し様子がおかしい。

「薪さん?どうしたんですか」

優しく訪ねてみる。薪さん、やっぱり、寂しくなったんですか。不安になってるんですか。俺と雪子さんを2人にして、少し後悔してるんですか。
もしそうだったらいいな、なんて思っていたんだ。この時は。
少しは『寂しい』とか『逢いたい』なんて甘えて欲しかった。

でも、実際は想像以上だった。

『・・青木・・す、好きだよ』

「・・・・」
俺はあんぐり口を開けたまま、聞いていた。

『好き・・だよ』

「・・お、俺もです!俺も好きです!大好きです」

興奮して大きい声になってしまった。前後の車両の人がビックリして俺を見る。少しニヤニヤと笑ってる人もいる。でもそんなこと、気にならない。

「大好きです・・・薪さん・・・」

『好きだよ』

「薪さん・・薪さんっ・・っ・・!」

『・・ヤバい・・』

「薪さんっ!・・すぐ、すぐに帰りますからっ」

そこまで告げて、たまらず電話を切った。
これ以上声を聞いたら、本当にこっちもヤバい。涙が溢れて止まらない。俺はしゃがんで、口を押さえて、嗚咽を抑えた。

これは嬉し涙?それとも、逢いたくてたまらない情動?なんの涙かさえ、解らない。もう・・

間もなく、京都です。・・・今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。

新幹線のアナウンスが遠くに聞こえる。

新幹線は静かに止まって、乗車口が開いた。乗り降りする客は、デッキでしゃがみ込んで泣いている俺をチラッと横目で見て通り過ぎる。邪魔だろうに・・関わりたく無いのか、気を使っているのか、とにかく誰も俺に声をかけなかった。

京都を出ますと、次は終点、新大阪・・新大阪に・・

「行けるかーーーーーっ!!!!」

急に大声で叫んだ俺に、ビックリして乗客が注目した。

俺が遅いので、様子を見に来た雪子さんもビックリしている。

「ちょっと、青木くん!?」

「すみません、雪子さん・・俺・・」

「ど、どうしたの!?」

「俺、帰ります!」

そう告げて、閉まる直前のドアから、京都駅のホームに飛び降りた。

「青木くん!?ちょっと!」

「すみません!本当に、すみませんっ!」

ドア越しに叫んだが、彼女に届いてるかどうか解らない。
俺はなんてことを・・・しているのだろうか。でも、どうしても・・・俺は。



荷物も財布も、座席に置いたままだった。俺は携帯電話1つで飛び下りてしまったのだ。
そしてあろうことか・・ポケットに入っていた『警察手帳』を見せて東京行きの新幹線に乗せてもらった。



東京に向かう車内でも、雪子さんに申し訳ない気持ちは持っていたが、考えるのは薪さんのことばかり。薪さん、どこから電話してきたんだろう。今、どこにいて、何を考えてるんだろう・・・

新幹線がこんなに遅いと感じたのは、初めてだった。



日も暮れた頃、俺は薪さんのマンションの前に立っていた。オートロックの解除番号も知っている。部屋の前まで来て、呼び出し音を押そうとすると・・・その前に、薪さんの方からドアを開けてくれた。

今日は早く帰ってると思ったんだ。
やはり第九じゃなくて、部屋で待っててくれたんだ。それだけでも嬉しくて、足もとから震えがくる。

薪さんの濡れた瞳が、黙って俺を見上げる。
ああ、綺麗な瞳だ。
それを見つめながら、俺は告げた。

「自信が無かったのは俺の方です。自信が無かったから、関係を公表したかったんです」

薪さんは黙って聞いていた。

「自信が無かった・・俺は・・人間としても捜査員としてもまだまだ未熟だし・・薪さんにつりあうほど、う、美しくも無いし」

そう言いながら、身を小さくして薪さんをそっと抱きしめる。

「う、美しくも無いし、コブ付き、ババ付きだし・・」

「そんなこと言うな・・」

「バ、バツいち、みたいなもんだし・・身体もデカすぎるし・・エッチも上手く無いし・・」

薪さんはフッ・・と軽く笑って両手を俺の背に回した。

「そんなこと言うな・・好きだから」

俺はまた、涙が溢れて止まらなかった。
「俺も、俺も、好きです。大好きです。愛しています・・気が変になるくらい」

気が付くと薪さんも泣いていて、2人してずっと泣きながら抱き合っていた。



「雪子さんには・・僕も一緒に謝ってやるから」
だいぶ経ってから薪さんが言ってくれた。この罪悪を一緒に引き受けてくれるんだと思うと・・その覚悟だけでもありがたくて、愛しくて、たまらない。

でも、これは俺の問題だ。俺と、雪子さんの問題だから。

「俺、自分でカタをつけるから大丈夫です」

そう言って、いったん上半身を離して見つめあった。そして・・・

「・・あの・・ちょっと、ヤバいんですけど」
完全に立ち上がった下半身を、薪さんに押し付けて訴える。

「全く反省の色が無いじゃないか!」

急に怒り出した薪さんの口を、キスで塞いだ。

いいえ、反省してます。だから今夜は、溺れさせて下さい。




優しい秘密.4に続く

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